Summary障害福祉サービスの運営に携わる方は、ご自身がいくら報酬を受け取ることが出来るのか気になるかと思います。ここでは、障害福祉サービス等報酬とは何か、障害福祉サービスの報酬単価、基本報酬や加算・減算、お金の流れや計算方法などについて、分かりやすく簡潔に解説していきます。1.障害福祉サービス等報酬って何?計算方法は?障害福祉サービス等報酬とは、障害福祉サービスを行う事業者が、障害福祉などに該当するサービスを提供した場合に、その対価として国から受け取ることが出来るお金です。障害福祉サービス等とは、心身に障害を持つ方や病気によって日常生活に障害を感じている方が、今より生活しやすく、そして社会に参加しやすくなるためのサービスの総称です。大きく分けて訓練等給付と介護給付の2つがあり、以下のようなサービスがあります。介護給付の中で最も利用者数が多いのは生活介護で、近年では約30万人が利用しています。訓練等給付の中で最も利用者数が多いのは就労継続支援のB型で、近年では約32万人が利用しています。また、共同生活援助が約17万人、就労移行支援は約3.5万が利用しています。2.障害者サービス等報酬の計算方法は?障害福祉サービス等報酬は、サービスの提供に必要な費用を考慮しサービスごとに設定されています。また、金額ではなく単位数で設定されています。単位数はサービス毎に設定されている基本報酬に、加算と減算が生じます。また、1単位数の価格は地域によって異なります。地域による家賃や人件費に差があるためこのような考慮がされます。例外もあり、療養介護の事業所は地域区分にかかわらず単位数×10円で計算します。実際に事業所が受け取ることが出来る金額は以下の計算式の通りになります。また、実際に事業所が得られる利益は以下のような流れで受け取ることになります。障害福祉サービスの提供によって得られる報酬は、市町村から国民健康保険団体連合会を介し給付費として支払われます。サービスの利用に自己負担が発生する利用者からは直接自己負担額分を受けります。図中に記載はありませんが、基本報酬には各事業所が行う事業によって得た報酬が追加されます。3.基本報酬や加算、減算って何?基本報酬障害福祉サービスの基本報酬はスコア方式と呼ばれる基準で定められます。具体的には、労働時間、生産活動、多様な働き方、支援力向上、地域連携活動の5つの要素から評価されます。加算加算とは、要件を満たすことで基本報酬に上乗せされる報酬のことです。例えば利用者の送迎を行った場合、送迎加算という加算が適用されます。また、加算のために届け出が必要ば場合があり、例えば児童指導員等加配加算などが該当します。(主に放課後デイサービスで適用されます)届け出がない場合は処分や返金となる可能性があるため注意が必要です。減算要件を満たしてしまうと基本報酬から報酬額を引かれてしまうことです。分かりやすく言うとペナルティのようなものです。減算の要件を満たしているのにも関わらず届け出をしなかった場合、処分や返金となる可能性があるため注意が必要です。このように、サービス不備がある状況では基本報酬を満額請求できない仕組みとなります。4.報酬額の計算の仕方の例(ケーススタディ)ここでは加算、減算を加味した報酬総額の計算方法を、例を用いて解説していきます。あくまで計算方法の一部の紹介なので、詳細は算定構造資料などを参照ください。ケース1(基本報酬のみの場合)●事業所の情報・大阪市・就労継続支援B型・定員 20人・基本報酬の単位数 利用者1人につき、1日あたり566単位・地域区分 2級地・1単位あたりの単価…10.91円●利用者1人が1日利用した場合の報酬額566単位 × 10.91円 = 6,175円(端数切り捨て)●定員に対する利用率が90%(1日18人利用)で、月の営業日が22日だった場合の1ヶ月の基本報酬総額6,175円 × 18人 × 22日 =2,445,300円ケース2(基本報酬+加算の場合)●事業所の情報・東京都特別区・就労移行支援・定員 20人算定する加算 送迎加算Ⅰ(片道21単位)・基本報酬の単位数 利用者1人につき、1日あたり820単位・地域区分 1級地・1単位あたりの単価…11.18円●利用者1人が1日利用した場合の報酬額820単位 × 11.18円 = 9,167円(端数切り捨て)●定員に対する利用率が90%(1日18人利用)で、月の営業日が22日だった場合の1ヶ月の基本報酬総額9,167円 × 18人 × 22日 = 3,630,132円● 毎日10人が往復の送迎を利用し、送迎加算Ⅰを月に440回分算定する場合の加算額21単位 × 11.18円 × 440回 = 103,303円(端数切り捨て)● 基本報酬と送迎加算Ⅰの1ヶ月の合計額3,630,132円 + 103,303円 = 3,733,435円ケース3(基本報酬+減算の場合)●事業所の情報・名古屋・放課後等デイサービス・定員 10人・基本報酬の単位数 利用者1人につき、1日あたり604単位適用される減算 サービス提供職員欠如減算(1ヶ月目:基本報酬の単位数×70%)・地域区分 3級地・1単位あたりの単価…10.90円●利用者1人が1日利用した場合の基本報酬の額(減算あり)604単位 × 70% × 10.90円 = 4,608円(端数切り捨て)● 定員に対する利用率が90%(1日9人利用)で、月の営業日が22日だった場合の1ヶ月の基本報酬総額(減算あり)4,608円 × 9人 × 22日 = 912,384円5.まとめ障害福祉サービス等報酬とは?障害福祉サービスを行う事業者が、障害福祉などに該当するサービスを提供した場合に、その対価として国から受け取ることが出来るお金。金額ではなく単位数で設定されている。単位数はサービス毎に設定されている基本報酬に、加算と減算が生じる。報酬を満額もらうためには、サービス不備がある状況でサービスを提供しないように努める必要がある。最後に福祉事業所の売り上げを自身で計算できるようになることは、運営において重要なことです。実際に計算する際には、地域区分や報酬単価、各サービスの報酬の単位数を調べる必要があります。計算には国保連が提供している無料ソフトや、事業所に合った市販のソフトを用意することをお勧めします。いかがでしたでしょうか?こんな記事が読みたい!といったリクエストがあればぜひお問合せからご要望お待ちしています。