はじめにADHDという言葉は近年様々なメディアで取り上げられ、認知度が上がっています。また、職場でミスや遅刻を連発してしまい、自身もADHDではないかと感じる方も増加しています。漠然とした不安を抱えている方は、そもそもADHDとはどのような障害で、どのような対処法があるのかを抑えることが大切です。この記事では、ADHDとその対処法や特性の活かし方について解説していきます。1.ADHDってなに？ADHDは、Attention-deficit/hyperactivity disorderの略で、注意欠如・多動症(注意欠如・多動性障害)と呼ばれます。多動性と衝動性（落ち着きがない、順番待ちができないなど）の2つの特性を中心とした発達障害の1つです。発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達の偏りによる障害です。発達障害は外見からは分かりにくく、そのため周囲から理解を得られないことが悩みとなるケースも多いです。また、ADHDと自閉スペクトラム症と混同されがちですが、両者は異なります。自閉スペクトラム症では、コミュニケーションおよび対人行動の障害、興味関心の限定化、行動のパターン化が主な症状となります。2.ADHDの特性による困りごとは？仕事をしているときに、以下のような経験がある人も多いのではないでしょうか。忘れ物やミスが多い時間に遅れがちじっくり取り組むのが苦手スケジュール管理が苦手書類の不備が多い長時間の会議が苦痛 などADHDの不注意・多動性・衝動性などの特性がある人は、特にこうしたことが起こりやすくなります。ただし、これらの悩みがあるかどうかは「ご自身がADHDかどうか」を直接的に判断できるものではありません。ADHDの特性は人によって個人差があり、その特性による悩みも人それぞれで異なります。そのため、安易に自己判断をせず、専門医の診察を受けてみることをおすすめします。職場では以下のような困りごとが発生しやすいのもADHDの特徴です。ミスが多くなる作業が遅れがちスケジュール管理が苦手書類などの不備や紛失が多い仕事の優先順位が分からないマルチタスクが苦手衝動的に不適切な発言や行動をする独断で行動してしまう上記のような困りごとに対しては、以下のような方法で対処すると困りごとが軽減されるかもしれません。チェックリストを作って確認する周囲の人にダブルチェックを頼むタイマーやアラームを活用するものの置き場所を決めてラベリングするやるべき仕事をすべて書き出して順番をつける終わった仕事はリストから削除するなど、進行状況が見えるようにする業務によって相談相手を1人ずつ決めたり、定期的に報告や相談のミーティング時間を設けてもらう3.ADHDの特性による強みとは？ADHDの特性は悪い面ばかりではなく、自身の特性を理解することで強みとなります。以下の特性は仕事でも活かしやすいものです。好奇心旺盛行動力がある興味のあることを追求できる話をするのが好き決断力がある上記のような特性は、以下の場面で力を発揮することができる可能性があります。飛び込み営業など、初めての相手でも臆さずにコミュニケーションがとれる顧客の要望にすぐに応えるなど、すばやく行動に移せる調査や研究など、とことん調べたり、追究したりすることができる話題が豊富で、取引先や同僚などと円滑な会話ができる迷い続けることがなく、スピーディーに結論を出すことができるADHDの診断がある人でも、適切なフォローがあれば職場で強みを活かすことは可能です。そのためには適切なフォローや助言をしてくれる仲間や体制を作ることが何よりも大切です。細かな点にこだわりすぎて作業に時間をかけすぎてしまったり、本人は真剣に取り組んでいたとしても周囲からは評価されないケースも多いです。このような場合は、仕事に対する姿勢を評価しつつも、作業内容や仕事の進め方の問題点については適切な助言をしてくれる人がいることで、仕事がスムーズにいきやすく、周囲との関係性に問題も生じにくいです。4.ADHDの特性が活かせる職種とは？本項では、ADHDの特性を活かしやすい職種を紹介します。しかし、ADHDの特性は十人十色です。得意や不得意は個人差があるため、すべてを鵜吞みにするのではなく、ご自身の興味や特性に合った仕事を検討する材料として参考にしてください。営業職自社の商品やサービスについて知ってもらい、利用や購入を検討してもらうためにコミュニケーションをとり、交渉する仕事です。行動力を発揮して初めての相手でも臆さずにコミュニケーションがとれたり、顧客の要望に応じてすばやく行動に移せたりと、ADHDの特性を強みにできる可能性があります。扱う商材が自分の好きなものである場合、より営業力を発揮できることもあります。また、外回りが多い営業の場合は、行き先が日によって変わることもあるため、パソコンに向かって毎日同じ作業を繰り返すよりは働きやすいと感じる人もいます。経営者事業を自分で立ち上げ、運営して利益を出していく仕事です。行動力や状況に合わせた判断力、決断力などが必要とされるため、ADHDの特性を活かせる可能性があります。研究職特定の分野やテーマについて、分からないことを調べたり、仮説を立てて実験や研究をしたりする仕事です。味のある分野をとことん追究して調べるという点で、ADHDの特性を活かせる可能性があります。ITエンジニア・プログラマーパソコンのシステムやソフトウェアを、企画・設計・開発する仕事です。依頼主の要望に沿って対処する場合はコミュニケーションが発生することもあるほか、興味のあることに集中して取り組むという点で、ADHDの特性を活かせる可能性があります。広告ディレクターCMや広告の企画から制作を進行管理し、デザイナーやコピーライターなどさまざまな専門職の人と関わりながらプロダクトを完成させる仕事です。多くの人とコミュニケーションをとる点や、柔軟な発想が求められる点、素早く行動に移していくという点で、ADHDの特性を活かせる可能性があります。デザイナーWebサイトや雑誌、広告といったメディア、店舗やディスプレイといった空間など、あらゆるもののデザインや見せ方を考え、魅力を分かりやすく伝える仕事です。柔軟に新しい発想をして形にしていくという点で、ADHDの特性を活かせる可能性があります。コピーライターCMや広告などに使うキャッチコピーを考える仕事です。感性を大切にしたクリエイティブな仕事で、豊富なアイデアを活かすことができるという点で、ADHDの特性を活かせる可能性があります。また、キャッチコピーを考えるための事前リサーチでは、好奇心やとことん追究する力が求められることもあります。注意点ADHDの特性に合った職種を紹介してきましたが、職場の雰囲気や、上司や職場の人との相性もとても重要な要素です。安易に決断せず、同じ職種の企業であっても注意深く職場の特徴を把握し、ご自身の特性や性格に合った職場を探すことをお勧めします。5.最後にADHDの特性を持つ方にとって、仕事選びは悩みの原因となる事が多いかと思います。まずはご自身が持つADHDの特性や傾向を理解し、苦手なことや強みとなることは何かをじっくり考えていきましょう。仕事内容や働き方が合わなかったり、職場から特性に対する理解が得られなかったりすると、メンタルだけでなく身体にも影響が出ます。自治体の福祉サポート窓口や支援機関などでは、ADHDを抱える方の就職に関する相談も可能です。一人で抱え込まず、相談しながら自分にあった支援や仕事環境をじっくり探していきましょう。いかがでしたでしょうか？こんな記事が読みたい！といったリクエストがあればぜひお問合せからご要望お待ちしています。