Summary就労継続支援A型事業では、障害福祉サービスを提供した対価として報酬を受け取ることができますよね。ここでは就労継続支援A型の基本報酬の仕組みと、加算・減算について分かりやすく解説していきます。1.就労継続支援A型事業の売り上げにはどんなものがあるの?就労継続支援A型は、障害や難病のある人に対して一定のサポートを受けながら働くことが出来る職場を提供する障害福祉サービスの1つです。就労継続支援A型事業所では利用者と事業所間で雇用契約を締結するため、仕事(生産活動)を行います。仕事を通じて就労スキルの獲得を支援するのが就労継続支援A型事業所の役割です。そのため、就労継続支援A型事業所の売り上げには前述した生産活動による売り上げと、障害福祉サービスを提供したことに対する報酬の2種類が存在します。この記事では障害福祉サービスを提供したことに対する報酬についてフォーカスを当て、解説していきます。2.障害福祉サービスを提供した対価に貰える報酬にはどんなものがあるの?就労継続支援A型事業所が障害福祉サービスを提供したことに対する報酬には基本報酬、加算の2種類があり、事業所が満たすべきと定められている基準を満たしていない場合には、減算もあります。基本報酬は1人の利用者に対して1日サービスを提供するごとに得ることが出来ます。また、受け取ることが出来る報酬は金額でなく単位で定められており、その計算式は以下の通りです。地域ごとに1単位の価格が異なるため、地域ごとの単価を定めた地域区分というものが存在します。3.基本報酬はどのように決まるの?就労継続支援A型事業の基本報酬は、正式には就労移行支援A型サービス費と言います。就労移行支援A型サービス費は、定員区分、人員配置区分、スコア方式の3つの要素を組み合わせ決定されますので、本項では要素を1つずつ解説していきます。①定員区分定員区分とは、事業所の定員数により報酬を5段階に分けた基準です。行政に届け出をした事業所の定員数によって報酬が決められます。②人員配置区分就労継続支援A型の基本報酬は、前年度の平均利用人数に対する職業指導員と生活支援員の合計人数が7.5:1か、10:1かによって報酬の単価が異なります。7.5:1の場合は就労継続支援A型サービス費Ⅰによって単位数が決定し、10:1の場合は就労継続支援A型サービス費Ⅱによって単位数が決定します。実際の区分は以下の図の通りで、7段階評価となります。③スコア方式就労移行支援A型サービス費は、上記②のような7段階の評価がされます。どの区分となるかはスコアによって決められており、事業所は最高の区分である(一)を目指し活動します。評価の項目は計5つあり、それぞれ下記の図のような点数が設定されています。このようなスコアによりサービス費が決定される仕組みをスコア方式と呼称します。4.就労継続支援A型の加算にはどんなものがあるの?就労継続支援A型は基本報酬とは別に、要件を満たすことで報酬を得ることが出来ます。これを加算と呼びます。ここでは実際に加算の要件を簡単に解説していきます。①初期加算利用者が利用開始日から30日以内の期間について加算することが可能です。②訪問支援特別加算継続して事業所を利用していた利用者が連続して5日間休みが続いた時に、職員が利用者の家を訪問し相談援助を行った場合、月に2回まで加算することが可能です。③利用者負担上限額管理加算A型事業所を利用する際に自己負担が発生する利用者が、他のサービスを併用する際に、事業所が利用者の利用者負担合計額の管理を行った場合に加算することが可能です。④食事提供体制加算収入が一定額以下の利用者に対して、事業所が食事提供の体制を整え食事を提供した場合に加算することが可能です。⑤精神障害者退院支援施設加算精神科病院の精神病床を転換した事業所において、精神病床に概ね1年以上入院していた退院患者に対し、就労移行支援を利用している期間に夜間の住居の場を提供した場合に加算することが可能です。⑥就労移行支援体制加算就労継続支援A型を受けた後に就労し、6か月以上就労継続している方がいる場合に、報酬の区分と定員に応じた単位数に6月以上就労継続している方の数を乗じて得た単位数を加算することが可能です。⑦食事提供体制加算収入が一定額以下の利用者に対し、事業所が食事を提供した場合に加算することが可能です。⑧精神障害者退院支援施設加算精神科病院の精神病床を転換した事業所等において、精神病床に概ね1年以上入院していた退院患者等に対し、就労移行支援を利用している間の夜間の住居の場を提供した場合に加算することが可能です。⑨福祉専門職員配置等加算良質な人材確保とサービス向上を目的としていて、条件に応じてⅠ~Ⅲの段階の中から加算することが可能です。ことが可能です。⑩欠席時対応加算利用者の急病等により利用を中止した際に、連絡調整や相談援助を行った場合に月に4回まで加算が可能です。⑪医療連携体制加算医療機関等との連携により、看護職員が事業所を訪問して利用者に対して看護を行った場合や看護職員等に痰の吸引等に係る指導を行った場合等に加算することが可能です。⑫施設外就労加算一定の基準を満たし、企業内等で作業を行った場合に加算をすることが可能です。⑬重度者支援体制加算前年度における障害基礎年金1級を受給する利用者が、一定数以上である場合等に加算をすることが可能です。⑭賃金向上達成指導員配置加算生産活動収入を増やすため販路拡大、商品開発、労働時間の増加等の賃金向上を図るための賃金向上計画(又は経営改善計画)を作成するとともに、利用者のキャリアアップの仕組みを導入し、当該計画の達成に向けて取り組む賃金向上達成指導員を常勤換算方法で1以上配置した場合に加算することが可能です。⑮送迎加算居宅等と事業所・施設との間の送迎を行った場合に次表のとおり加算をすることが可能です。(同一敷地内の場合は次表の70%を加算します)⑯障害福祉サービスの体験利用支援加算就労継続支援A型の利用者が障害福祉サービス事業の体験利用を行った場合に、15日以内に限り算定をすることが可能です。⑰在宅時生活支援サービス加算通所利用が困難で、在宅による支援がやむを得ないと市町村が判断した利用者に対して、一定の要件を満たしたうえで支援を提供した場合に加算をすることが可能です。⑱社会生活支援特別加算医療観察法に基づく通院医療の利用者、刑務所出所者等に対して、地域で生活するために必要な相談援助や個別指導を行った場合に算定することが可能です。5.就労継続支援A型の減算にはどんなものがあるの?障害福祉サービスには指定基準というルールがあり、守らない場合には基本報酬が減額されてしまいます。また、減額の対象となっている状況で減算を行わないと、報酬の返還や行政処分となりますので、必ず定期的に指定基準を満たせているかチェックする必要があります。ここでは就労継続支援A型に適用される減算について簡単に紹介していきます。①サービス管理責任者欠如減算サービス管理責任者が人員配置基準を満たさない状態が一定以上続いた場合、対象になります。②サービス提供職員欠如減算生活支援員と職業指導員の人数が基準を満たさない状態で、一定の条件に該当すると対象になります。③定員超過利用減算利用数の定員超過が一定の条件に当てはまると対象になります。④個別支援計画未作成減算個別支援計画が存在しない期間が一定以上続いたり、作成プロセスに不備があったりすると対象になります。⑤身体拘束廃止未実装減算身体拘束等の適正化へ向けた要件を満たさない場合に対象になります。⑥自己評価未公開減算就労継続支援A型事業所は、スコア方式による評価内容を事業所のWEBサイトなどで公表する必要があり、公表していない場合に対象となります。最後に近年では就労移行支援事業所による不正請求等があり、事業への信頼が揺らぐ事案もありました。事業所に従事する職員が基本報酬に関する知識を身につけることで、正しく報酬の請求が可能な事業所運営を行っていきましょう。いかがでしたでしょうか?こんな記事が読みたい!といったリクエストがあればぜひお問合せからご要望お待ちしています。