はじめに身体障害者手帳とは、身体障害のある人に対して自治体が交付する手帳です。交付を受けると様々な支援やサービスが利用できますが、症状の種類や等級によって内容が違います。この記事では身体障害者手帳についての概要や等級について、取得することで受けられる福祉サービスなども鍾会いたします。1.身体障害者手帳とは身体障害者手帳は、身体的な障害を持つ人が社会生活を送る上で、必要な支援を受けるための証明書です。この手帳を持つことで、身体的な障害の程度や種類に基づいて、様々な支援や福祉サービスを受ける権利を持つことができます。後述しますが、代表的なものとして、公共交通機関の割引や施設の利用優先権、雇用支援、介護サービスの利用などが挙げられます。身体障害者手帳の取得は任意ですが、より快適に生活するためのツールとして活用が期待できます。参照:厚生労働省「障害者手帳について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/techou.html2.身体障害者手帳の交付対象になる障害身体障害者手帳の交付対象になる障害は下記の通りです。肢体不自由視覚機能聴覚・平衡・音声・言語又はそしゃく機能心臓機能じん臓機能呼吸器機能ぼうこう又は直腸機能小腸機能免疫機能肝臓機能参照:松戸市「身体障害者手帳」https://www.city.matsudo.chiba.jp/kenko_fukushi/shougaifukushi/tetyou/shintai.html3.身体障害者手帳の等級身体障害者手帳には、障害の程度に応じて1〜7の等級があります。等級が高いほど(1に近いほど)、障害の程度が深刻であり、日常生活における支援が必要な場合が多い傾向にあります。具体的な等級の基準は、日常生活動作の制限や障害の種類、治療やリハビリテーションの必要性などが考慮されます。等級は障害者福祉法に基づいて設定されており、障害者本人や医師の診断結果に基づいて決定されます。なお、7級の障害は、単独では身体障害者手帳の交付対象にはなりませが、7級の障害が2つ以上ある場合や、7級と6級以上の障害が重複して存在する場合などは、身体障害者手帳交付対象となります。では、実際にどのような等級基準があるのか、肢体不自由(上肢)の場合の等級基準の事例をご紹介します。【1級】1.両上肢の機能を全廃したもの2. 両上肢を手関節以上で欠くもの【2級】1.両上肢の機能の著しい障害2. 両上肢のすべての指を欠くもの3. 一上肢を上腕の2分の1以上で欠くもの4. 一上肢の機能を全廃したもの【3級】1.両上肢のおや指及びひとさし指を欠くもの2. 両上肢のおや指及びひとさし指の機能を全廃したもの3. 一上肢の機能の著しい障害4. 一上肢のすべての指を欠くもの5. 一上肢のすべての指の機能を全廃したものその他の障害の等級基準についても「身体障害者障害程度等級表」に詳しく記載があるため、気になる方は一度ご確認ください。参照:厚生労働省「身体障害者障害程度等級表」https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000172197.pdf参照:「福ナビ 東京福祉ナビゲーション」身体障害者手帳https://www.fukunavi.or.jp/fukunavi/eip/20kuwashiku/0301k_sintai/sinsyotetyo.html4.身体障害者手帳の取得で受けられる福祉サービス5選身体障害者手帳を取得すると、さまざまな福祉サービスを受けることができます。ここでは代表なものを5つご紹介します。障害者雇用枠への応募公共料金や公共交通機関運賃の割引補装具(義肢・視覚障害者安全つえ・補聴器・車いすなど)の助成所得税・住民税の割引(障害者控除)医療費の割引・助成この他にも、障害者住宅改造費(リフォーム費用)の助成、子供の保育園入園時の加点など、さまざまなサービスを受けられる可能性があります。障害の等級や、各自治体により受けられるサービスが異なるため、詳しくは、各自治体の障害福祉窓口で確認してみましょう。参照:厚生労働省「事業主の方へ 従業員を雇う場合のルールと支援策」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page10.html参照:国税庁「障害者控除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1160.htm5.身体障害者手帳の申請方法申請窓口で申請書類を受け取る居住地の自治体の障害福祉窓口で「交付申請書」と「身体障害者診断書・意見書」を受け取ります。ウェブサイトから書類をダウンロードできる自治体もあります。身体障害者診断書・意見書の作成身体障害者診断書・意見書に医師の診断内容を記入してもらいます。なお、診断書の作成は「身体障害者福祉法第15条の指定」を受けている医師である必要があります。自治体の障害福祉窓口に申請書類を提出自治体の障害福祉窓口に以下のものを提出します。①交付申請書(マイナンバーカード)②身体障害者診断書・意見書(指定医により記入済みのもの)③証明写真障害等級の決定と身体障害者手帳の交付審査終了後、障害の等級が決まります。申請から交付に必要な期間は自治体により異なりますが、約1~2か月である場合が多いようです。上記では、申請の際の手順や提出物について説明しましたが、細かい部分は各自治体によって異なることもあるので、詳しくは各自治体窓口に問い合わせてみ下さい。まとめ身体障害のある人は、障害の症状や程度によって様々な悩みごとがあるかもしれません。身体障害者手帳はそういった悩みや生活上の困難を取り除くサポートをしてくれます。特に、法定雇用率が近年上がってきているので、障害のある人の採用機会も増え、「障害者雇用枠」での仕事の幅が広がっていると言えます。最後に障害の等級に応じて、自治体から様々な支援やサービスが受けられます。必要に応じて、身体障害者手帳を取得して、教育や就労、社会生活のサポートを得て、自分らしい日常生活を送れるようになればと思います。