Summary本年4月から報酬改定、就労移行支援事業者として、どう変更になるのか気になる内容だと思います。この記事では、改定方向性から、就労移行支援事業所に直接影響が予想される内容を抜粋し、業務領域ごとに説明して参ります。1.定員、サービス利用について事業所の利用定員を現行20人以上から10人以上に変更就労移行支援事業では、利用者の安定的な確保が運営の課題になっております。今後、小規模でも運営ができるよう、定員が現行の20人以上から10人以上に緩和される事になります。休職中の就労系サービス利用について障害のある人が、休職中に就労系障害福祉サービスを利用する事に関して、「職場や医療機関による復職支援が見込めない場合」などの現行の利用条件を改めて周知する必要があります。なお、支給申請の際に、利用条件を雇用先企業や主治医の意見書の提出が必要となります。2.サービス内容、個別支援計画について指定基準に意思決定の支援に配慮を明記事業者は、利用者の意思決定の支援に配慮する旨が、指定基準に明記される事となります。また、意思決定支援の内容、その結果を反映した個別支援計画の作成や記録が指定基準や解釈通知に反映されます。個別支援会議へ本人参加を原則化個別支援会議や、相談支援事業所のサービス担当者会議にて、利用者本人の参加を原則とします。会議で本人の意向を確認する旨が指定基準に加えられます。(会議参加はオンラインでも可能)相談支援事業所に対する個別支援計画の情報共有を義務化相談支援事業所が、利用対象者の状況を踏まえ、的確なサービス利用計画を作成できるよう、各サービスの個別支援計画について、相談支援事業所への情報提供が義務化されます。3.人員について治療と両立する時短職員を週30時間以上で常勤と扱えるように今後、治療と仕事の両立に向けて、事業者が設けた短時間勤務制度を利用する職員について、週30時間以上の勤務で「常勤」として扱える事になります。なお、常勤換算上も、週30時間以上の勤務で常勤換算(1カウント)として取り扱えるように緩和されます。テレワークの人員配置基準上の取り扱いを明確化管理者については、管理上支障が生じない範囲内でテレワークが可能となります。今後、管理者以外の職種や業務、利用者についても緩和されていく見込みです。4.業務効率化について施設外支援での個別支援計画見直しが1か月に1回に変更施設外支援の要件である個別支援計画の見直しが、現在の「1週間ごと」から「1か月ごと」へと変更されます。施設外就労についての実績報告書の提出義務を廃止事務負担軽減へ、施設外就労を実施した際に毎月提出する実績は、今後一切提出不要となります。なお、実績記録書類を事業所で必ず保管し、必要に応じて自治体が確認する案が現在検討中です。申請書の各種様式の簡素化・標準化現在自治体ごとに申請書等の様式が違いますが、令和5年度中にサービス類型ごとの標準様式が全国の自治体で統一作成されます。自治体は、標準様式の使用や普及状況などを踏まえながら、令和6年度以降に標準様式使用の基本原則化に向けて現在検討されております。5.基本報酬について基本報酬の見直し事業所の経営実態調査を踏まえ、経営状況やより良いサービスの評価を実施する為、今後、各サービスの基本報酬が見直されます。現在実施未定な項目もあるので、今後の動きに注視する必要があります。6.処遇改善加算について処遇改善加算は一本化され、賃金配分ルールも統一へ現在の「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「ベースアップ等支援加算」は、各加算や区分を組み合わせた上で、一つの加算に一本化されます。一本化にあたっては、就業規則や賃金規程を変更しなければいけない事業所もある為、ある一定期間の経過措置を設ける必要が出てきます。いつから実施するのか、現在検討されています。職種間の賃金配分ルールの統一職種間の賃金配分は、現在の経験や技能のある職員に重点的な配分されておりますが、今後は事業所内で柔軟な配分へと統一されます。職場環境等要件の見直し職場環境改善を目的として、環境を見直す項目を増やし、より実効性のある内容に取り組んでいく姿勢が今後必要となります。令和6年2月~5月で福祉・介護職員に対する当面・緊急の措置を設ける 福祉・介護職員の収入を2%(約6千円相当)引き上げるための緊急措置が取られることになりました。今後(令和6年6月以降)の緊急措置継続は、現在検討中です。7.その他の加算、報酬上の評価について支援計画会議実施加算はサービス管理責任者以外でも算定可能に地域の就労支援機関との連携促進へ向けて、会議前後にサービス管理責任者と情報共有する事が条件とし、サービス管理責任者以外が出席しても、加算を算定できるようになります。食事提供体制加算は経過措置を維持しつつ、今後更に検討食事提供加算ですが、今後も経過措置は延長されます。(いつまで継続されるかは、現在検討中です。)令和6年度の報酬改定では、栄養面の配慮を評価する観点から、以下を追加で評価する方向性が示されました。栄養士が献立作成に関わり(外部委託でも可能)、栄養ケアステーション又は保健所が栄養面について確認した献立である事。利用者の摂食量を毎回記録している事。定期的な体重測定やBMI(肥満度)による評価をしている事。他の制度とのバランスや公平性などの観点を踏まえ、今後、経過措置の実施状況や効果を見極めて、更に検討を深めるとされています。視覚・聴覚言語障害者支援体制加算による更なる改定今回の改定で、視覚・聴覚・言語機能に重度の障害がある利用者を多く受け入れ、より手厚い支援体制を実施している事業所を、今後、更に評価する方向が示されました。高次脳機能障害のある利用者への支援を報酬上で評価高次脳機能障害を抱える利用者が一定数以上で、専門性がある職員が配置されている場合、報酬上で評価されます。評価対象は、自立訓練や就労支援の通所サービス、共同生活援助の居住サービスとされております。8.減算、報酬上の対応について業務継続計画(BCP)未策定の場合の減算を新設今後、感染症や、自然災害のいずれかの業務継続計画(BCP)が未策定の場合、基本報酬が減算されます。虐待防止措置未実施の事業所に対して報酬上で対応障害者虐待防止措置を未実施の事業所について、現在の身体拘束廃止未実施減算に基づき、今後減算の適用が予想されます。情報公表システム上で未公表になっている事業所に対して報酬上で対応障害福祉サービス等情報において、未公表となっている事業所は、報酬上の対応にて減算の適用が予想されます。また事業所更新の際に、指定権者が事業所情報の公表の有無を確実に確認する事も示されています。9.令和6年度報酬改定、施行はいつからか施行実施時期について今までの報酬改定では3月までに告示・改正をし、翌年度4月から施行してきました。しかし、事業所は短期間でサービスや事務の変更をしなければいけません。また、システム事業者も短期間での改修作業を迫られます。全ての改定を一気に実施することは不可能であるので、順次改定が進められていく事が予想されます。こういった事情により、現在施行時期を4月から6月へ先送りする案も検討されています。今回の記事のまとめ令和6(2024)年度の報酬改定では、事業所や職員、行政を始め、就労移行支援にも様々な影響が予想されます。今回示されたものは基本的な方向性であり、現在も検討が続いてる項目もあり、審議は続いています。一早く情報をキャッチして改定に備えましょう。最後に今回紹介した記事は、早ければ今年の4月から改定される項目もあれば、徐々に改定されていく項目もあります。事業者は、安定した運営に向けて、常にアンテナを張って情報を収集し、素早い対応が求められます。いかがでしたでしょうか? こんな記事が読みたい!といったリクエストがあれば ぜひお問合せからご要望お待ちしています。