就労継続支援A型の設備基準ってなに?就労継続支援A型を開業するには、設備基準を満たす必要があります。作業スペース、洗面所、相談室など、基準を満たすために必要な設備が定められていますので、物件の選び直しや追加の改修工事が必要になるような事態を避けるため、事前に設備基準を把握しておくことが大切です。1.設備基準を満たすには何を用意したらいいの?就労移行支援A型の設備基準は、厚生労働省の省令をもとに障害福祉サービスの指定権限を持つ自治体が定めています。主に都道府県、政令指定都市、中核市などです。このような指定権限を持つ自治体を指定権者と呼びます。指定権者によっては設備基準の他にも追加ルールが存在しますが、必要となる主な設備は以下の図の通りになります。2.具体的な設備基準の内容は?作業訓練室利用者さんが与えられた作業や訓練を行う上で必要となるスペースです。省令基準では具体的な面積の基準はありませんが、「訓練又は作業に支障がない広さを有すること」と定められています。また、10人定員の事業所では、1人当たり3or3.3平方メートル以上のように面積を定めている指定権者も多いです。20人定員の事業所の場合は、6or6.6平方メートル以上の広さが必要となる場合が多いです。相談室・多目的室利用者さんの個別面談や、これから利用を検討されている方との面談などに使用されます。プライバシーを守るため、パーティションで外部からの視線を遮断したり、外部に声が漏れないようにする必要があります。多目的室は、主に利用者さんの食事や談話に使用されます。相談室と多目的室は役割を果たせるのであれば兼用することも可能です。トイレ利用者さんの特性に応じたものが必要となります。具体的には、車いすが入ることが出来る広さの確保、トイレと洗面所が隣接している、等が挙がります。2000平方メートル以上の事業所では、バリアフリー法によってトイレなど事業所の設備をバリアフリー化する義務が発生します。また、それ以下の事業所でも努力義務があります。洗面所利用者さんの特性に応じたものが必要となります。トイレと別に手指を洗浄できる設備が必要となります。衛生を考慮し石鹸とペーパータオルの設置も必要です。また、自動水洗やレバー式水洗の設置もバリアフリーの観点から必要とされます。事務所書類を管理するための鍵付きの書庫、戸棚が必要となる指定権者も多いです。(例外有)その他の設備上記のほかに、「静養室」やベッド、エレベーター設置が義務となる場合もあります。詳細は地方権者に確認が必要となります。3.もし違反してしまった場合はどうなるの?もし設備基準を違反していたことが発覚した場合、以下のような流れで行政対応が行われてしまいます。実地指導→監査→勧告→命令→指定取り消し等悪質性が高い基準違反は処分に該当する可能性がありますが、設備は人員配置の様に流動的なものではないため、設備基準の違反により指定の取り消しとなる事例はあまりないです。開業時も運営していく中でも、違反がないか注意する必要があります。4.設備基準に関連した他のルールもあるの?就労継続支援A型事業所の物件と設備には、設備基準以外にも満たすべき基準があり、主なものには建築基準法、消防法、都市計画法などです。ここではその中でも建築基準法と消防法について解説していきます。消防基準法既存の物件を利用する場合は、消防基準法を満たしているかの判断基準となる完了検査を受けているか確認が必要です。既存の物件の完了検査が済んでいるか否かは完了検査証で確認が可能です。完了検査証は完了検査を通過した際に交付されます。無い場合は、建築確認所管行政庁で完了検査証が交付されているかの確認が必要となります。また、店舗や住居など他の用途で使用されていた既存の物件を事業所として使用する場合には、用途変更という建築確認申請が必要です。ただし、床面積が200㎡以上の場合に限ります。新築・増築の場合にも確認申請が必要となります。事前に最寄りの建築指導課で確認することをおすすめします。消防法就労継続支援A型事業所は消防法令上、6項ハ(障害者施設)に区分されます。この区分に従って備えるべき設備が定められており、開業するための指定申請までに所定の検査に合格する必要があります。また、テナントビルや共同住宅などに入居する場合は、建物の面積・構造や用途により他の消防設備が必要となる場合があります。事前に物件所在地の消防署予防課で確認してください。主に必要な設備は以下の通りです。※通所型の場合、自動火災報知機は延べ面積300㎡以上の場合となります。※入居や宿泊が可能な施設の場合、全室必要となります。5.まとめ設備基準とは?就労移行支援A型の設備基準は、厚生労働省の省令をもとに障害福祉サービスの指定権限を持つ指定権者が定めている事業所の設備に関する基準。設備基準を満たさない場合、最悪指定取り消しになるため、必ず守る必要があるルール。設備に関する基準は設備基準以外に、建築基準法、消防法、都市計画法などがあり、開業、運営にはすべて満たす必要がある。最後に就労継続支援A型事業所の設立には設備と物件に関するルールが多数あり、地域によっては指定権者により細かなルールが変更・追加されています。指定申請時にごたごたしてしまわぬ様、事前に指定権者、消防署、建築指導課などへの相談をおすすめします。いかがでしたでしょうか?こんな記事が読みたい!といったリクエストがあればぜひお問合せからご要望お待ちしています。