はじめにこの記事では、障害年金の制度、基本的な障害年金の内容、障害年金の請求手続きのやり方を、できるだけわかりやすく解説していきます。是非、参考にしてみて下さい。1.障害年金とは?障害年金とは、病気や怪我によって、日常生活や仕事などが制限されるようになった場合に、受給できる年金制度です。「年金」とつくため、高齢者向けと勘違いされる方もいますが、障害年金は現役世代も受給でき、原則として20歳から65歳になるまで(65歳の誕生日の2日前まで)請求できます。障害年金の対象者は、いわゆる「障害」の言葉から想像する、事故で障害を負った人や、生まれつき障害がある人ばかりではありません。「うつ病」「統合失調症」などの精神疾患や発達障害、「がん」「難病」「糖尿病」といった病気も含め、ほとんどの病気や怪我が障害年金の対象となります。2. 障害年金は働いていても受給できる?原則、障害年金は働いていても受給することができます。眼や耳の障害、肢体障害などの外部障害は、働いていることが障害年金の受給に影響することは少ないと考えられているからです。一方で、精神障害や発達障害、がんや内科系疾患の内部障害は、認定審査の際に、就労ができているから、障害の程度が軽度なのではないか、と判断されることが少なからずあります。障害年金を申請する際には、仕事の業務内容や職場での受けている援助や配慮・職場環境の様子を、審査する国側にしっかり伝えることが重要です。3.障害年金を受給するための手続き障害年金を受給するための要件を満たしていても、申請をしない限り受給することはできません。また、障害者手帳を持っていても、更新日前に申請請求手続きが必要です。審査するのは国で、具体的には日本年金機構の担当職員や、「認定医」と呼ばれる医師などです。申請に必要な書類を漏れなく揃え、審査する側に障害の状態を細かく伝えることが大切です。4.「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の違い障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」の2種類があります。ポイントとなるのは初診日(障害の原因となった病気や怪我で初めて医師の診療を受けた日)です。自営業者など「初診日」に国民年金に加入していた人や、「初診日」が20歳前にある人などは「障害基礎年金」に該当します。会社員など「初診日」に厚生年金保険に加入していた人は「障害厚生年金」となります。「障害基礎年金」に比べ「障害厚生年金」の方が、保障内容が手厚くなっています。障害年金は、障害の程度によって3段階に分かれており、障害が重い方から1級、2級、3級の順番で、年金の金額も1級が最も高く受け取れるように設定されています。5.障害年金の金額障害年金の金額は、「障害基礎年金」か「障害厚生年金」かで支給される金額が異なります。また、障害の程度によっても異なります。支給される金額は、4月から翌年3月の年度単位で決められており、支給日は年6回、偶数月の15日(15日が土日祝の場合はその直前の金融機関営業日)で、2ヶ月分が振り込まれます。障害基礎年金の金額「障害基礎年金」の金額は、年度ごとに決まった金額になります。障害の程度が重い方から1級、2級となります。障害厚生年金と違い、3級や障害手当金はありません。1年間の総額は、1級で約100万円、2級で約80万円です。18歳になる年度末(高校卒業)までの子供がいる場合は、「子の加算」が付きます。年額は、2人目までは一人につき約23万円、3人目からは一人につき約8万円支給されます。 障害厚生年金の金額「障害厚生年金」は、人によって支給される金額が違います。同じ等級の場合、一般的には、給与が高く会社勤めの期間が長期の人ほど支給される障害年金額が多くなります。障害の程度が重い方から1級、2級、3級、障害手当金となります。本人が1級または2級に該当する場合で、配偶者がいる場合は、年間約23万円の「配偶者加給年金」が付きます。6.障害年金を受給するための3つの条件障害があるということだけでは、受給することはできません。障害年金を受給するには、3つの条件があり、そのすべてを満たしている必要があります。① 「初診日」に年金制度に加入していること② 「初診日」の前日において、保険料の納付済期間や免除期間などが一定以上あること③ 障害の程度が、定められた基準に該当していること7.障害年金の請求手続きの進め方障害年金の請求(申請)手続きの流れを見ていきます。準備を始めてから請求するまで、2~3か月はかかるため、早めに準備しておきましょう。『初診日』を調べる年金事務所などで「保険料納付要件」を満たしていることを確認する『初診日』を証明する書類を揃える医師に診断書を書いてもらう「病歴・就労状況等申立書」を作成するその他の必要書類を揃える参照:NPO法人障害年金支援ネットワーク「障害年金とは」https://www.syougainenkin-shien.com/whatissyogainenkin8.支給が決定した場合審査が順調に進むと、障害年金の請求書類を提出してから平均約3~4か月後に、結果が郵送で通知されます。支給が決まった場合は、先に「年金証書」が届き、その後「年金振込通知書」が届きます。「年金証書」が届いたら、おおよそ2か月以内に「年金振込通知書」が郵送され、初回の振込金額や振込日が書かれています。診断書の待ち時間、書類をまとめたりする事を考えると、順調に行っても準備が請求準備に2~3か月以上かかることが一般的です。請求書類を提出してから結果が出るまでは、順調に進んで約3~4か月かかります。支給が決まった場合、障害年金が振り込まれるまで、さらに約2か月かかります。準備に取り掛かってから障害年金が振り込まれるまで、少なくとも6~7か月程度は見ておく必要があります。請求の仕方によっては、請求が遅くなると年金の支給開始時期が遅れ、結果的に受給できる金額が少なくなる可能性もあります。障害年金を請求すると決めたら、早めに行動しましょう。9.支給されない場合でも不服申し立てができる障害年金が支給されないと決まった場合は、「不支給決定通知書」または「却下通知書」が届きます。不支給や却下になった場合や、決定した障害等級に納得ができない場合には、不服申し立てが出来ます。不服申し立て手続きの進め方は、大きく分けて以下の3つが考えられます。① 審査請求(決定内容の問題点を明らかにし、提出書類をもう一度見直してもらう手続き)② 再請求(病状がきちんと診断書に反映されていなかったり、以前、請求した後、病状が悪化した場合に行う)③ 審査請求と再請求を両方行う不服申し立ては、一度出された結果に対して行うので、とても難しい手続きとなります。進め方も経緯や内容によって異なりますので、専門家に相談することも考えましょう。10.受給後も審査があるほとんどの場合、1年~5年ごとに審査があり、更新の手続きが必要です。更新の時期が来ると、誕生月の3か月前の月末に「障害状態確認届」が郵送で届くので、診断書欄を医師に書いてもらい、誕生月の末日までに日本年金機構へ郵送します。 「障害状態確認届」を提出してから約3~4か月後に、結果が郵送で通知されます。審査の結果、同じ障害等級で続けて支給される事もあれば、等級が変わったり、支給が止まったりする場合もあります。審査の結果、病状の変化がなく障害等級が下がったり、障害年金に該当する状態中なのに、支給が止まったりした結果に納得ができない場合は、不服申立てができます。参照:日本年金機構「障害年金」2023年3月1日https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-01.htmlまとめ本件では、障害年金の基本的な内容について、詳しく説明してきました。障害年金制度の仕組みや請求のやり方がどのようなものか、多少イメージできたかと思います。少しでも分からない事があれば、各自治体の福祉課や日本年金機構(近くの)年金事務所に相談してみることを勧めます。最後に障害年金の仕組みを知り、請求手続きをすることで、障害を持つ方の日常生活や社会生活への負担が少しでも軽減されると思います。この記事に書いてある条件に当てはまる方で障害年金を未請求の方は、一度障害年金の取得を考えてみる事をおすすめします。こんな記事が読みたい!といったリクエストがあれば ぜひお問合せからご要望お待ちしています。