就労継続支援A型事業を開業するには、どんな人員配置にすれば良いの?人員配置基準とは、就労継続支援A型の事業所を開業するために満たさなければいけない基準です。どのような職種の人を、何人配置すべきかが定められています。開業の際だけでなく、開業後も基準を守りながら運営していくことが義務付けられています。違反すると、報酬の減額や行政指導もあり得ますので、開業と運営には必須の知識となります。この記事では、どのような人員配置にする必要があるのかを簡潔に解説していきます。1.どのような人員が必要なの?就労継続支援A型事業に必要な職種にはいくつか種類があります。必須の職種は以下の通りです。管理者サービス管理責任者職業指導員生活支援員続いて、各職種を解説していきます。管理者従業者と業務の管理従事者への指導(法律や基準を守るための指導)事業所全体の管理者で、管理業務に支障がない場合は他の職種との兼任が可能サービス管理責任者個別支援計画の作成利用者の心身の状況や他福祉サービスの利用状況を把握、必要な支援の実施従業者への技術的な指導や助言関係機関や他事業との連絡調整職業指導員利用者のスキルや要望を把握、就労スキル習得のための指導、助言生活支援員利用者の自立を目指し、身の回りや生活全般をサポート2.各職種ごとに何人必要なの?人員配置基準では、各職種ごとに必要となる人数の決め方が異なります。ここでは各職種ごとに必要な人数と、人数の決め方について各職種ごとに解説していきます。管理者1つの事業所につき1人必要です。業務に支障がなければ他の職種と兼任が可能で、サービス管理責任者と兼任している事業所も多いです。サービス管理責任者前年度の平均利用者数が60人以下の事業所・・・1人以上前年度の平均利用者数が60人以上の事業所・・・1人+61人目以降の利用者と40:1になるように増員が必要。例)利用者が140人の事業所は3人必要。※1人は常勤の必要があります。職業指導員と生活支援員常勤換算(注1)で10:1(利用者数:職員数)または、7.5:1(利用者数:職員数) 以上(注1) 常勤換算とは、労働時間を基準にした人数の数え方です。所定労働時間の通りに勤務している方は常勤、それ以下の時間の場合は非常勤になります。例えば、所定労働時間が週40時間で、実際に勤務した時間が週40時間のAさんは常勤、所定労働時間が40時間で、実際に勤務した時間が週28時間のBさんは非常勤となります。ここで注意したいのは、必ずしも常勤=正社員ではない点です。雇用形態や、賃金の支払い形態が月給か時給かはここでは関係ありません。※職業指導員と生活支援員それぞれ1人の配置は必須で、そのうち必ず1人は常勤である必要があります。※利用者数とは、前年度の平均利用者数のことを指します。3.人員配置の一例ここでは、架空の事業所を例として、人員配置基準について解説していきます。配置する人数は、基準を満たす最少人数とします。以下、架空の事業所である「A事業所」の情報を記載します。A事業所定員:40人前年度の平均利用者数:33人週の所定労働時間:40時間職業指導員と生活支援員の配置構成:前年度の平均利用者を7.5で割った人数以上を配置前年度の平均利用者の算出方法は以下の通りです。前年度の利用者全員の延べ労働日数(実際に勤務した日数)÷開所日数=前年度の平均利用者職業指導員と生活支援員の合計数は、前年度の利用者数を10で割る方法と、7.5で割る方法の2パターンが存在します。前年度の平均利用者数を7.5で割った人数配置する方が基本報酬の単価が高いため、今回は後者の算定方式を適用します。A事業所の人員配置管理者兼サービス管理責任者:1人職業指導員と生活支援員:前年度の平均利用者数(33人)÷7.5=4.4人4.新規開業する場合の人員配置算定方法は?新規開業する場合、前年度の平均利用者数を算出できないため、代替値を使用する子ことになります。代替値の算出方法は以下の通りです。注意点「前年度」とは、前年の4月~今年の3月の間を指します。例えば8月頃に開業した場合、前年度の利用者実績ができるのは19か月後になります。その場合は直近1年間の平均利用者数を適用します。5.人員採用時の注意点は?採用する人員の構成が分かった後は、どのような人を採用すれば良いのかも気になるポイントです。ここでは、職種別の採用するべき人材について解説していきます。管理者いわゆる施設長となるポジションのため、施設の運営やサービスの質に責任を持てる方という前提は当然として、職員を率いていくリーダーシップやマネジメントスキルを持つ方を積極的に採用したいです。サービス管理責任者と兼任する場合もありますが、その場合はよりこういった能力が重視されます。サービス管理責任者連携機関や職員、利用者とその家族など、様々な人とコミュニケーションを取る立場となるため、高い傾聴力とコミュニケーション能力が必要となります。様々な立場の方の話を丁寧に聞き取ることが出来、その内容をサービスに反映していく調整能力も必要となります。職業指導員利用者を指導する立場となるため、指導内容に関する知識と、それを利用者の立場になり、理解しやすく解説できる能力が必要となります。資格を必要としないため他業界の人材を採用可能ですが、利用者に寄り添える人材であるかはサービスの質を担保するうえで大切なポイントです。生活支援員利用者の日常生活に寄り添う職種のため、介護技術や、丁寧に利用者の話を聞き取る傾聴力はもちろん、職業指導員など他職員と共に作業指導に当たることも多いため、臨機応変な対応が可能な人材であることも求められます。全職種に共通する採用時のポイント不特定多数の人と関わっていくことが出来るコミュニケーション能力、相手の立場で物事を考えることが出来るか、などはどの職種でも必要となる能力です。また、福祉分野での経験が豊富な方などは「こうあるべき」という福祉の視点が強すぎる方もいます。外部との連携が必要な場面で無理な要求をしてしまうことがないよう、企業としての視点も持っている人材が望ましいでしょう。6.開業時と運営での注意点は?就労継続支援A型の開業には、人員配置基準以外にも様々な基準を満たす必要がある他、細かな注意点も多数あります。ここでは代表的なものを一覧として記載します。開業時個人で就労継続支援事業所の指定を受けることは出来ないため、法人格が必要。設備基準を満たす必要がある。運営基準を満たす必要がある。(最少定員)開業したことを認知してもらうための関係機関への広報。人材の採用と教育。利用者に実施する訓練の準備。指定申請の際に必要な書類の準備。(採用した人材の実務経験証明書などを含む)など事前に準備期間を設ける必要があることが分かります。運営時人員配置基準を順守するために毎月の利用実績を記録。日々のサービス提供の記録など7.まとめ人員配置基準とは?就労継続支援A型の事業所を開業するために満たさなければいけない基準。管理者、サービス管理責任者、職業指導員、生活支援員の4つの職種を配置する必要がある。管理者は、1つの事業所につき1人必要。サービス管理責任者は、前年度の利用者の平均が60人以下の場合は1人以上、60人以上の場合は1人+61人目以降の利用者と40:1になるように増員が必要。職業指導員と生活支援員は、常勤換算で10:1、または7.5:1となるように配置。最後に健全な事業所の運営には、人員配置基準を満たすことが必要不可欠です。人員不足になると行政処分や職員への負担に繋がりますので、必ず遵守しましょう。また、人員配置基準を満たすことは必要なことですが、利用者が継続して利用可能な事業所を作るためには、当該事業所にマッチした人材を配置することも必要です。いかがでしたでしょうか?こんな記事が読みたい!といったリクエストがあればぜひお問合せからご要望お待ちしています。